WhyとWhatの使い方【自己認識】

コラム

今日、仕事で大きなミスをしてしまった。
上司は怒り狂い、取引先には「もう来なくていい」とまで言われてしまった。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
「なぜ」あんなことをしてしまったのだろうか。
そんな考えが、僕の頭の中でぐるぐるしている。

こんな経験は誰しもがあるはずです。
仕事の失敗だけではありません。

将来への漠然とした不安。
恋人との些細な喧嘩。
友人や、同僚との人間関係…etc

ネガティブなものだけでもありません。
将来の大きな夢。
10年後のなりたい自分の姿。

これらの問題を解決しようとするとき、人は「自分」について深く考えようとします。
しかし、多くの人たちがうまく考えることができません。
理由は「Why」と「What」の使い方を間違えてしまっているからです。

ここらでいっちょ、正しい使い方を知っておくといいのではないでしょうか?

なぜなぜ分析

医療現場で「なぜなぜ分析」と言うものが使われています。
例えばこんな感じ。
患者が転倒したーなぜ→看護師が付き添っていなかったーなぜ→
人数が足りず付き添えなかったーなぜ→シフトの組み方が悪かった

と、本来の原因を探るために使われる手法です。
「患者が転倒しました。以後気を付けましょう」これでは何の解決にもなったいないことは一目瞭然でしょう。
根本的な解決を行うために、医療現場ではよく使われています。

この方法と同様に、僕らは自分に対しても「なぜなぜ分析」をしがちです。
なぜ、僕は仕事でミスをしてしまったのだろう。
なぜ、恋人とうまくいかないのだろう。
なぜ、僕はこの夢を持ったのだろう。

しかし、このなぜなぜ分析には致命的な欠陥があるのです。

Whyの大きな大きな落とし穴

致命的な欠陥とは、「自分に対して使えない」ことです。
例えばダイエット中、お菓子を食べてしまったとしよう。
なぜ、私はお菓子を食べてしまったのだろうか?
と、考えたところで「今日は仕事を頑張ったから」「このお菓子はカロリーが少ないから」と都合のいい理由しか出てきません。

「理性もある動物、人間とは、まことに都合のいいものである。したいと思うことなら、何にだって理由を見つけることも、理屈をつけることもできるのだから」米ドル紙幣の100ドルに描かれる、ベンジャミン・フランクリンの言葉です。『フランクリン自伝』

要するに、「なぜ」と自分に問うたところで、正しい答えは見つけられないのです。
自分が正しいと思えるものを答えとしてしまうのが人間だからです。

また、メンタル的にもよくありません。
「なぜ私はあんた失敗をしてしまったのだ」と考え始めたら、その反芻から抜け出すことは困難になります。
人は自分の過ちに対して、「なぜ」と問うた瞬間から、被害者意識をぬぐえないのです。

ここでまで話せば「なぜ」は自分に対して使い物にならないことがわかるでしょう。
次の章が最も大事ですよ。

WhyからWhatへ

「なぜ」から「なに」に変えるだけで、内的自己認識において効果が高まると聞けば、多くの人は「それホンマか」と思うでしょう。
それが、ホンマなんですよ。

先のダイエットの例で、実際にやってみるのが早いでしょう。
私は何をした?
ダイエット中なのにお菓子を食べた。
私は何をしていた?
夏美しい体を見せるためにダイエットをしていた。
代わりに明日から何をするべきか?
お菓子は目の届かない所へ移動させる。

このように、自分への認識をはっきりさせるだけでなく、解決策まで見つけることが「なに」の強さです。
もちろんダイエット中のミス以外にも使えます。

今の仕事に漠然とした不安を抱えている場合を想定してみましょう。
今の仕事になぜ不安を抱えているのだろう?
私はもともと今の仕事が向いていないんだ。地道な作業は苦手だし、なんといってもすぐに飽きてしまう。ほかの人のように一心不乱にできないんだ。

なぜと問うと、ネガティブな被害者の反応が返ってきます。
では、なにと問うてみると…

今の仕事の何に不安を抱えているのだろう?
パソコンに向かって仕事をし続けるのが耐えられないんだ。
このままで本当にいいのか不安になってきてしまう。
じゃあ、自分は何が好きなのだろうか?
人の話を聞いたり、逆に聞いてもらったりするのが好きだ。

このように、なぜでは1週間考えても、答えは出なかったのに、「何」と聞けば5分もしないうちに突破口が見つかるはずです。
もし、まだ信じられないのであれば、自分で試してみてください。
するとすぐに「なに」の有効性に気づくでしょう。

WhyとWhatの使い方

要するに「なぜ」という問いは基本的に自分の周りを理解する際に役立ち、「なに」という問いは基本的に自分を理解する際に役立つのです(『insight』英治出版)

もし、あなたが何かに悩んだり、迷ったりしているのであれば、まずは自分を知るために「なに」と問うてください。

今まで悩んでいたのがウソのように、解決していきます。

それではまた。


コメント

タイトルとURLをコピーしました