臨床工学技士の真価はどこにあるのか【医療×IT】

医療×〇〇

今回の記事は臨床工学技士の皆さんに問いかけたい内容となっています。
また、これから臨床工学技士になろうと思っている学生たちにも一緒に考えてほしいなと思います。

そして「いや、私臨床工学技士関係ないんだけど」「そもそも医療従事者じゃないんだけど」という方には、自分の職種に置き換えて読んでいただけると、何か思うことがあるかもしれません。

さて、いきなりですが臨床工学技士は代替可能な職種でしょうか?
僕らが日々やってきたことは、医師、看護師、はたまた医療機器メーカーでもできることではないでしょうか?

あなたはこの問いにどう答えますか?

臨床工学技士は代替可能な存在か

僕が病院で働き始めて1年と少しした頃の話です。
電気整理に興味があった僕は、少しわがままを言ってデバイス(ペースメーカー,ICD,CRTD等)、とアブレーション業務に関わらせてもらいました。(色々あって1ヶ月で外されたんですけどね。それはまた別の話)

ワクワクしながら研修に入りましたが、現場を見て「ん?」と思わずにはいられませんでした。
そこにはたくさんの医療機器メーカーの方々がいらっしゃいました。

医師が質問するのメーカーさん、アブレーションで使用する機械(CARTOなど)を使用するのもメーカーさん、デバイス手帳を書くのもメーカーさん。
僕らはメーカーさんができない医療行為をメーカーさんの指示のもと行うだけ。

「これ僕いる?」「いや、MEいる?」と思ったのは確かです。
もちろん僕が未経験だから、というだけではありません。
熟練した先輩方でもそんなに違いはありません。(先輩たちが怠けていたわけではありません)

少なくとも僕の病院のカテ室では、MEがいなくても業務が回りそうでした。
あなたの病院ではどうでしょうか?

臨床工学技士は代替不可能である

さて、この経験をきっかけに僕は考えました。
「MEってもしかして病院に不要なのでは?」

ですが、僕の結論は「MEは必要だろう」ということで落ち着きました。

メーカーさんはいわゆるスペシャリストです。
毎日何件もの症例をこなしていれば、経験が積み重なっていくのは当然です。
また、その業務に関しての知識を勉強すればいいので、効率的でしょう。
実際メーカーさんたちの知識量はものすごいです。何度もお世話になりました。

一方、MEはそうはいかないでしょう。
透析も、呼吸器も、電気整理も、補助循環、その他諸々どれも一定レベルなければいけません(総合病院での話です。もちろん中にはスペシャリストとして働いている人もいるでしょう。)

どの業務に対しても一定のレベルで関与できる人。これは医療の分野で必要とされる人々です。
では、なぜ僕はこんな問いかけをしたのでしょうか。

メーカー、医師、看護師、とちゃんと棲み分けができている。確かに。
病院にジェネラリストとして医療機器管理者が必要である。確かに。
臨床工学技士は医療の発展に貢献できている。本当に?

臨床を少し出てみよう

今までの話は臨床の中での話です。
上記のように、臨床の現場でMEはたびたび必要とされています。
例えばICUで人工呼吸器をつけながら、VAECMO回して、急性透析をする、ついでにモニタ周りの設定も。よくある事例ですよね。

こんなとき、ME1人いれば全てに対応できます。
他の職種、メーカーさんではこうはいかないでしょう。

では、臨床を出てみましょう。
だって、医療従事者の役割は何も臨床が全てではないですよね。
(ただ僕は全ては臨床に帰結するとは思っています。患者さんを助けれなければ医療ではないと。)

基礎研究があるから新しい薬が開発される。
新しい手術の開発があるから、より低リスクで治せるようになる。
このような根本的な医療の進歩に対して、僕らMEはどれだけ貢献できているでしょうか。

医学に関して聞きたいなら医師。薬学に関して聞きたいなら薬剤師。
看護に関して聞きたいなら看護師。
医療機器に関して聞きたいならME。ではなく技術者に聞いた方がいいでしょう。

僕らMEは医療機器の使用者であって、開発者ではないのですから。
僕らに言えることがあるとすれば「臨床で使った感想」くらいでしょう。
必要なことではありますが、専門的な知識は必要とされません。
「使ってるスマホどうですか?」と街頭アンケートされるようなものです。

自分で書いていて思いますが、なんか悔しいですね。
でも実際、臨床に特化した今の僕らではこれが現実な気もします。

嘆いていても始まらないので、どうしたら僕らが臨床だけでなく、医療の発展に大きく関わっていけるのかを考えようではありませんか。
あなたなら何を考えますか?

せっかく臨床“工学”技士なのだから

僕が目をつけたのは、工学に関しての知見です。
工学と言っても情報的な知見ですが。

病院の中で学生時代に、工学と情報を修めた人はおそらくMEくらいでしょう。趣味で学んだ人はいるかもしれませんが。
これを活かさない手はありません。

医療だけに絞ってしまえば、上には上がいます。
だって病院ですもん笑
しかし、「医療もできて、情報もできる」なんて人はMEだけです。
(どっちもハイレベルでできる変態な医師は除きます笑)

「情報ができたところで何の役に?」と思う人は少なくない気がします。
ITに詳しくなったところで、情報システム部にはエンジニアがいます。
その人たちに任しておけばいいではありませんか。

でも、エンジニアの人は医療に関して素人です。
IT技術を医療に最大限活かすのは難しいでしょう。
それができるのがMEだろうと僕は思います。

例えば医療機器の購入。
医療機器の購入を勘や経験ではなく、統計や機械学習といった手段を用いて判断することができれば、臨床だけでなく病院の経営に対して利益を与えられます。

メディカルとエンジニアリング、両方を熟知していれば、医師とエンジニアの間に入ってより実用的、そして実現可能なものを作り出すことができます。
たびたび起こるのは医師と技術者との間で起こるミスコミュニケーションです。

医師は「これじゃ臨床で使えない」といい、技術者は「言われた通りにやった」と言います。
それもそのはずで、お互いがお互いの領域に対して知識がないので、イメージできません。
しかし、MEはどちらの知識も持てるため、イメージできます。

こうなれば、MEは臨床以外でも必要不可欠な人材となり、真価を発揮できるでしょう。

まとめ

上記は、いろんな人と話をして、たくさんの本を読んで生まれた僕の考えに過ぎません。
そもそも「臨床で働いているだけでよくない?」と思う人もいるでしょう。
もちろんその通りです。MEは仕事であって、求められているのは臨床業務です。

夜勤や当直でしんどいのわかります。
深夜の呼び出しきついのわかります。
怖い看護師さんや、話の通じない医師と一緒にオペ。
自分の健康が感染症やコロナで脅かされるなかでの業務。

僕は働きながら「なんて僕は偉いんだ」と何度も思いました笑

実際、日常業務を回せれば、誰にも文句は言われないでしょう。
一度きりの人生、仕事以外にも楽しみ方はたくさんあります。

でも、僕はせっかくMEになったのだから、MEでなければいけない、僕じゃなきゃできないことをしてみたくなりました。
目の前の命を救うのは大事です。そして、いいものを創造することでより多くの命を救うことも同じように大事なことと思います。

今回は医療とITを組み合わせました。理にかなっているとは思うし、僕は、今データサイエンティストとして、MEで得た知識を使いながら働いています。
しかしこの記事は他のMEの方々、医療従事者の方々への問いかけです。
「いやいや、しばちゃん。MEだったら医療×〇〇でしょ」という意見は大募集です。

TwitterでもInstagramでもいいので、どしどしください。
同じ医療に携わるものとして、切磋琢磨していただけたら嬉しいです。

それではまた。

 


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