実験をする前に論文を書け【上司の教え】

コラム

今回は「上司の教え」シリーズです。
と言っても今回が初めてなのですが笑

これを書くに至った経緯をさらっと。
3ヶ月前に病院から企業に転職した僕ですが、転職先にいた上司がとんだもなくできる人で未経験の若造である僕にも時間をとって色々教えてくださるので、それをまとめてみようかと。(そしてなんと1人ではない)

少なくとも、元の職場では聞くことはなかったことばかりなので、ぜひ皆さんにも参考にしていただければと思った次第です。

それでは早速、今日の教え。
「実験する前に論文を書け」

実験する前に論文を書け

ある日僕は仕事の休憩中に、「仮説思考」という本を読んでました。
するとその上司が取りがかり「おっ、しばちゃん。仮説思考読んでんだ」と声をかけてくれました。

「その本はね、結局【実験する前に論文を書け】ってところだけできれば大丈夫だよ」と。
そのとき、その題はすでに読み終えてました。

内容を少し説明すると、「先が不透明のことをする場合は、仮説を立ててから行動を起こしなさい」というものです。
思考パターンには2つあります。「網羅思考」と「仮説思考」です。

どちらも読んで字の如く。「網羅思考」は全てのデータを集め、ありとあらゆる道筋を考える思考。
「仮説思考」は限られたデータをもとに、自分の直感や経験に基づいて仮説を立てる思考。

聡明な皆さんならお気づきかと思いますが、網羅思考は時間や期限が決められている場合(そして往々にして現実世界には制限ばかりで)、実現不可能なので仮説思考の方がいいとされています。

僕も同じようにそう思っていたので、「ほぇー」くらいに読んでましたが、一つ気になることがありました。
それは「バイアスによる実験結果の捏造」です。

人は自分の考えや意見を否定されることが苦手です。仮説を立てて、実験を行えばその実験結果を自分の仮説が正しい方へ読み解くことを無意識でやってしまうのです。

だから僕は上司に聞きました。
「その部分を読んで疑問が一つあるんです。仮説思考をすると確かに結果に早く辿り着くことができますが、バイアスの除去はどうするんですか?」と。

上司の答えは…

そもそも、未経験の入社2ヶ月目の若造が部長と昼休みに本のことで立ち話しているのが僕にとっては意外です。
少なくとも、前の病院ではあり得ませんでした(部長と本の話なんて絶対にできなかった、だって本なんて読んでないんだもん)

なんていい会社なのだ、他にもいい上司がたくさんいるので、その人たちの話はまた別の記事で。

そうそう、上司の答えでしたね。僕の質問を受けて上司は
「バイアスが入り込むような実験はしちゃダメなの。心理学や行動経済学なら少しは入っちゃうかもだけど、僕がやる実験は全部数値で表せるようにするんだよ」
「確かに自分の仮説を棄却したくないって思いはあるけど、それは良くない。そもそも最初なんて仮説が当たらなくて当たり前。だから繰り返し仮説を立てて検証していくんだ。」
「ま、僕くらいになると外れなくなるんだけどね〜」

なるほど。そりゃそうか。
わかっていたのにできてなかったことを見つけた瞬間でした。
確かにバイアスを取り除くときには、考えの余地がなく、バチッと数値で結果が出てしまうようにするのは当たり前です。
が、それはできていませんでした。

何気ない昼休みの会話でしたが、とっても実になる話でした。
ちなみに最後の「僕くらいになると外れなくなる」ってのは冗談に聞こえますが、この人が言うとそうと取れないのが僕は好きです。
他にも「僕頭いいからさ」なんてみんなの前で言ってますが、事実なのでみんな笑えません。
そして本人も自覚しているので、冗談っぽくもないです笑

去り際には「だから、しばちゃんもバンバン仮説立てて、その精度を磨いてね。10年後には外れなくなるくらいに」と。
10年でなれるかなー。なんて思いながら「頑張ります笑」と返しました。

まとめ

この教えから学んだことは3つ。

  • 仮説思考の大切さ
  • バイアスの取り除き方
  • ビジネスや仕事への応用

何も仮説思考は論文にだけ使えるわけではありません。
仕事にも使えます。

「この事業をうまく回すには何が必要か」と言う問いがあったとして、
「おそらくこれだろう」と仮説を立てて検証していく。
そのうち「あれ、これじゃないな。ならこっちか?」と繰り返す。
そうしていきながら本当に必要なものを見つけ出したり、もしかしたら「そもそもこの事業がいらないのかも」という仮説が立ったりするかもしれません。

あのピーター・ドラッカーも経営において「最も重大な過ちは間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ。」と言っているくらいです。それをいち早く見つけることができるのが「仮説思考」なのです。

ぜひ皆さんもこの教え参考にしてみてください。
それではまた。


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