【臨床工学技士】転職する前に本気で職場を変えてみた【医療×教育】

医療×〇〇

今回は転職する前の僕が「職場をよりよくするためにやったこと」を紹介していきます。

社会人3年目で経験も知識も人望もない僕が、どうやって職場に変化をもたらしていったのか。
ぜひ、皆さんの参考にしていただけると嬉しいです。

それではみていきましょう!

現状の把握

まずやったことは、問題点の把握です。

組織に勤めていると不満はそこら中から出てくることでしょう。
しかし、「なんとなく働きにくい」「もう少しどうにかならないかな」とぼんやり考えていても、
何も変えられませんでした。

そこで、問題点を洗い出してみたのです。

問題1.若手が育たない

僕が勤めていたのは、県内でもトップクラスの大きさを持つ大学病院です。
もちろん、働く人も多く、採用も沢山しています。

僕が所属する臨床工学部でも毎年3〜5人ほど雇っています。
が、辞める人も多いのです。

僕のように「やりたいことがある」という理由ならば、目を瞑るしかないかもしれませんが。
(本当はやりようはありますが)
実際、辞める原因として多いのは職場環境です。

【人間関係】と【教育】この2つが絶望的に悪いのです。

人間関係に関しては、悪口が日々飛び交う職場。
他の医療従事者に対する対応の悪さ。
仕事の押し付け合いをする職員。

もちろん全員ではないです。
でも、一部のこういう人がいることで、部署全体の質が落ちてしまっています。

教育に関しては、そもそも教育システムがない。
あるのは、研修ファイル(業務上必要な技術が並んだだけのファイル)のみ。
過度な催促と、突き放すような態度。

さて、これでどう若い人が育つのでしょうか。
数年で辞めてしまうのも納得の職場です。

問題2.上司のマネジメントスキルの低さ

上司の方々は医療においてとても知識が豊富で、頼れる先輩方です。
「人工心肺といえばこの人!」「不整脈といえばこの人!」「機器メンテならこの人!」と
何が来ても大体解決できるくらいにはレベルが高いと思います。

「なんの問題があるのかね?」と言いたげですね?笑

これが問題大ありなのです。
彼らは「自分が働くこと」に長けていました。
しかし、「後輩を育てる」「部署をうまく回す」ことについてはお世辞にも頼れるとはいえませんでした。

人がいないのに無駄な人事をしてしまったり、去る職員に対して無下な態度を取ったり、
年に一度の評価基準はめちゃくちゃで頑張った人が報われない始末。

もちろん、上司の方々がだけが悪いわけではありません。
マネジメントスキルに対する研修を病院が積極的にしてこなかったのも問題です。

問題3.他部署との交流が薄い

チーム医療とはよく言ったもので、医療は1人ではできません。
手術1つとっても、執刀医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、放射線技師、等々数々の人が関わって成り立っています。

そこで必要なのはコミュニケーションです。
いつもと違うことに気づいても指摘できない関係。
手伝った方が安全なのに手を出せない関係。

これでは、チーム医療でなく完全な個人技です。

人間関係は普段のコミュニケーションからだと僕は思います。
しかし、他職種との会話を最低限しかせず、ちょっとした頼みを「私の仕事ではない」と断っていてはうまくいくものもいきません。

僕の部署では、あまり積極的に他部署と関わろうとしていない人が多いです。
それが、少しずつ悪影響を及ぼしていました。
他部署からクレームがくるほどです。

実際に取り組んでみた

さて、大きく分けて上記の3つが問題点でした。
いや、改めて書くと、とんでもない部署だ。笑

ここで、僕が決めたことがあります。
それは「上司にはアドバイスしない」こと。

これは経験論ですが、以前にも上司の方々に「こうしてはどうか」「ここが問題では?」と
いったことがありましたが、全く効果がありませんでした。
それは僕がまだ24歳であること、経験も知識もないこと、そして上司との信頼関係がなかったこと、さまざまな要因があったからです。

「人は変えられない」とはよく言ったものですね。

そこで、今回は僕を慕ってくれている「後輩」にスポットを当ててみました。
職場をガラッと変える上で取れる対策は3つ。

・上層部を入れ替える→1年で変えられる
・今の上司を良い方へ変える→数年かかる
・後輩を育てる→十数年かかる

もちろん上2つも試しました。
が、今の上司を変える方法は、前述の通りだめでした。

なら、上層部を外から雇ったらどうだと、
話を聞いてくれていた大学教授に直談判しにいったところ、
「私もそうしたいが、今の私ではどうにもできない」と言われてしまいました。

ということで、後輩たちを育てる方法をこの半年間試してきました。

やったこと1.教育システムの構築

まず取り掛かったのは「教育システム」です。

今までは研修ファイルを渡して「はい、一年でできるだけ埋めてね」という感じでした。
業務も毎日適当に振って(呼吸器ラウンド、慢性透析、急性透析)教える人もバラバラ。
いつまでに何を終わらせるのかすら決めず、とりあえず早めに業務できるようになってくれ。
こんなんで育つわけない。

それを、1年の年間計画表を作り、業務を先に振り分け(もちろん個人の進み具合に合わせられるようにバッファも設定)
教育者もある程度固定し、業務前にその業務の流れや最低限の知識を与えるためのガイダンスを作成。
業務ができるようになってきたところで、より深い知識や技術を学べるガイダンスをさらに作成。

現在、そのシステムが動いて2ヶ月。
まだまだ始まったばかりですが、今年の新人にはウケが良く、今の所は順調かなと思えるくらいです。

やったこと2.若手だけの勉強会

先輩方に若手に対してどう思っているか聞いて回ったら「今の子達は知識がない」と多くの人が言っていました。
実際にそうです。僕も3年目になりますが、圧倒的に知識不足です。そこは反省しています。

また、若手が辞めていく原因の一つに「知識がないまま業務を行うのが怖い」というものがありました。
コロナが流行る前は定期的に院内勉強会が行われていましたが、収まってきた今なお、あまり開催されていませんでした。

それに伴ってか、若い子たちが自ら学ぶ習慣も無くなってきてしまっていたのです。

そこで「若手だけの勉強会」を月1で開催することにしました。
内容はこんな感じです。

・毎月1人が自分の好きなテーマで発表
・間違った知識を教えないため、上司が1人だけ混じって参加すること
・わからないことをわからないと言える環境を作ること

人は講義を受けるよりも、自分が話す方が知識の定着につながります。
また、参加者を若手だけにすることで、知っていて当たり前なことでも、わからなければ「それって何?」と聞ける環境になります。

そして、上司を1人だけ入れることで、知識の正確性はもちろんですが、若手とのコミュニケーションも増やすことができます。
上司の方々には若手に、持っている知識をふんだんに分け与えてほしくて、このようなスタイルにしました。

発表する人は、自分で上司に「スライド作ったのでみてください」という必要がありますが、
上司の方々には、事前に僕から「若い子たちがスライドの件で聞きにきたら、みてあげてください」と了承をとってあります。
趣旨を説明したら、理解を示してくれる人がちらほらいたのがせめてもの救いですね。

第一回は僕が勉強会を開きましたが、やはり僕が一番勉強になりました。笑
ぶっちゃけていってしまえば、勉強会自体は微妙でした。
少し硬くなりすぎて、1年目の子たちはあまり質問できず、縮こまってしまっていたからです。
これには、改善が必要かなと思いました。

やったこと3.他部署との交流に後輩を巻き込む

僕自身、新人の頃に1人の先輩がオペ室の看護師さんたちと仲良く話しているのをみて「いいなぁ」と思った記憶があります。
(あ、決して綺麗な女性と話せて良いなと思ったわけではありませんよ…。嘘です、ちょっと思いました)

そこで、僕も見習おうと頑張って1年。
オペ室ではみんな話しかけてくれるし、頼ってきてもくれます。
もう仕事がしやすいのなんの。

だから、後輩たちも仲良くして、情報の共有や助け合いをしてほしいと思ったのです。
で、僕がしたのは後輩を連れている時に、仲のいい看護師さんに話しかけて紹介したり、
「みてるからやってみな」と看護師さんから僕へのお願いを後輩に流したりと交流を増やしました。

その甲斐あってか、1人の子は僕よりも看護師さんや医師と仲良くなり、楽しそうにオペ室業務をしています。
(たまに行き過ぎることもありましたが、まぁそこは目を瞑りましょう笑)

やったこと4.考え方のコラムを書いた

これは業務や仕事とはほぼ関係ないことですが、考え方をまとめたコラムを書きました。
「落ち込んだ時に読む用」「怒られた時に読む用」「もっと高みを目指したくなった時用」などなど。

これらは、僕の考えというよりは、僕が数々の本を読んでまとめたものです。
「嫌われる勇気」「7つの習慣」「GIVE&TAKE」など、自己啓発やらビジネス書やら古典やらから引用して、噛み砕きながら書いたので、我ながらいいもの作ったなと思っています。笑

実際、1つ下の子たちに読んでもらったところ、4人中3人が泣きながら読んでくれました。
それくらい追い詰められていたというのもあると思います。

若い子たちは悩んでいても職場の人にその話をすることができません。
そういう関係を築いていない僕ら先輩の責任です。
だからこそ、文章で、自分のペースで読んで、気持ちを楽にしたり、奮い立たせたりするものが必要かなと思ったのです。

また、僕がいなくなっても多様な考え方を知ることができるのも魅力だと思います。
残念ながら、僕の上司たちに同じ話はできないと、僕をよく知ってくれている人も言いますし、僕自身もそう思っています。

少なくとも、このコラムは1つ下の子たちの気持ちを楽にできたのは確かでした。

まとめ

と、僕が積極的に取り組んできたのはこんな感じです。
どれも今の所は順調ですが、実際どうなるかはわかりません。

僕の考えとしては「10年後くらいにこのシステムがいいものになればいいな」くらいの気持ちです。
ただ、そこで問題なのは「僕がもういないこと」

一番面倒な「立ち上げ」は僕がやりましたが、今度は「継続」をしていかなければいけません。
これもかなり大変です。
継続・更新に関しては、教育に興味があったけどやり方がわからなかった先輩2人に託しました。

2人とも優しく、面倒見がいいタイプなので、システムさえ作ってあげれば後はうまくやってくれると信じています。
もし、わからないことがあれば退職後の僕でいいので話してください、とも伝えてあります。

また、後輩にも僕の意思を受け継いで「私頑張ります」と心強いことを言ってくれる子もいます。

この記事は、さぞ僕1人で職場を変えようと奮闘しているように見えるかもしれませんが、実際はそんなことなく、たくさんの人の助けを借りてここまでやっています。

なんでもそうですが、大きな組織がたった1人の力で変わるわけありません。
それを今回痛感しました。

さて、もう少し視野を広げましょう。
僕がこれを書いたのは、僕のやってことを残したい、共有したいという思いがありますが、もう1つ意図があります。

それは他院の先輩臨床工学技士が、他院の若手臨床工学技士へ教育的に関与できるようにしたい。ということです。
僕の部署のように上司にマネジメント能力がなく、若手が路頭に迷うのは見ていられません。

現在、学会やイベントなどで交流が盛んに行われているのは知っていますが、その間をもう少し踏み込んで教育という面で接することができる場が欲しいと思っています。
知識ではなく、臨床工学技士としての働き方、勉強の仕方、コミュニケーションの取り方、キャリアアップの仕方等々。

これは僕の夢物語ではありますが、実現して欲しいと思っています。
もし、同じ夢を持つ人がいれば、是非一緒にやりましょう。

 

それではまた!


コメント

タイトルとURLをコピーしました