プライドをもって医療をするとは?

コラム

ある時、後輩にこう聞かれました。
「先輩、今うち人居なさすぎて業務回らないんです。だから、診療支援の簡単な部分は誰でもできるように一般化しようって話が出てるんです」

「なるほどね。確かに半年で四人も居なくなったら大変だろうね笑」

「そうなんですよ。でもある上司に、雑用だからって俺は誰にでもできるとは思わないし、やらせたくない。チームの仕事とかプライドとかはないのか。って言われたんです。先輩はどう思いますか?」

「そうねー。君はどう思うの?」

「んー。言われてみれば確かにプライドを持ってやりたいですけど。頑固みたいじゃないですか。だからわからなくなっちゃって。」

「なるほどね。そうだ・・・」

プライドを持って医療をするとは

僕は実習生の頃、実習先の先輩方にこう聞いて回ったことがあります。
「あの、どうして医療をやろうと思ったんですか?」

大体の人の答えが「安定しているから」「仕事に困らないから」と返ってきました。
確かに事実です。(人を助けたい気持ちもあったという人ももちろんいました)

日本の国家資格は永久ライセンスです。
持っているだけで医療行為が許可され、職場を選ばなければ確実に働くことができます。

でも、学生ながらに思いました。
「医療って患者さんのためにやることだよな。本当に患者中心なのかな。」と。

医療といえど仕事ですよね。
お金をもらえるからこそ、生活が成り立つのです。
でもふと思いました。「僕らの仕事に対する金額は何によって定められているんだ?」

MEで言えば、機械を清掃している1時間と、VAECMOを回している1時間。給料は同じ額です。
機械の点検は大事ですが、緊張感はありません。一方VAECMOは一歩間違えれば患者が亡くなってしまいます。
もっと言えば、VAECMOを回しながら、他の職種のサポートをし、ミスを減らそうとしている人の1時間と、ただVAECMOを回している人の1時間も同じ金額です。

業務が成り立っている。患者さんが助かっている。だから同じ金額が支払われます。
ふむ、では誰だってめんどくさいことはやりたくないし、ましてやわざわざ他の人まで手伝うだろうか?

プライドの正体

上の話の続きです。

「なるほどね。そうだなぁ、医療って汎用的じゃないといけないんだけど、どうしてかわかる?」

「えっ。んー、医療を受けられない人がいると困るからですかね。」

「そう、ほぼ正解。99%成功するけど日本で1人しかできない手術よりも、95%成功して日本中誰でもできる手術を開発した方がいいんだ。だって、1人で一度に何万人と手術できないでしょ?その間にも患者さんは苦しんでいるんだ。だからこそ、医療は汎用的でなければいけない。」

「でも、それがプライドとどう関係するんですか」

「プライドはないのかって言ってきた上司は、お金とか仕事とかそれ以上の目的を持って医療に取り組んでいるんだよ。確かに雑用なんて誰でもできるかもしれない。いやそもそも、さっき言ったように医療なんて手技だけで言えばほぼ誰でもできる。でも、誰でもできる雑用の中でも他職種のフォローをしたり、周りに気を配ったりすることでオペのしやすさや質は変わってくる」

「確かにそうですね。」

「質の高い医療をしようとしている人を最低限の仕事しかしない人たちはプライドが高いと言うんだ。どこまで質を高くするかは人による。給料分だけでもいいと思うのも、プライドを持って質の向上にこだわるのも、人を助けているのには変わりないからね。」

「自分にあった先輩を見て、真似してみるんだよ。あの人みたいに質を上げられたらいいなと思ったらやっていることを真似したらいい。それ以上求めるかどうかはその時決めたらいいと思うよ」
「ちなみにこれは個人の問題であって部署としてどうするかはわからない。ただ、部署はどうであれ君は自分で考えて行動してみるのはどうだろう」

まとめ

あくまでも今回書いたのは僕の見解です。
人助けとお金の話を同時にするのは野暮かもしれませんが、もしこの手のことで悩んでいる人がいたら参考にしてもらえたらと思います。

実際、あなたの職場にも仕事以上に突き詰めている人もいれば、最低限の仕事しかしない人もいるでしょう。
どちらがいいかなんて誰にも決められません。(まぁ、部長が前者なら強制されるかもしれませんが)

よく海外のニュースで警備員が「そこまでする給料をもらっていない」といって、そうだそうだなんて盛り上がるのを見ます。
確かにそうですが、それでいいのでしょうか。

少なくとも僕は誰でもできることを、誰でもできないくらいにやろうと思って病院で働いていました。
(実際できていたかどうかは一緒に働いていた他のスタッフに聞いてください笑)
だから、その上司の言葉はよくわかります。

後輩にも言った通り、若手の頃はなりたい先輩を見つけて真似してみるのがいいと思います。
僕だって真似したい先輩を見つけて、真似してました。

それくらいでちょうどいいと思います。
雑コラムなので今回はこの辺で。

それではまた。


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